夫婦で共働きをしている家庭は年々増加しており、内閣府の「男女共同参画白書 令和4年版」(2022年)によると、妻が64歳以下の世帯数1635万世帯のうち、1177万世帯(70%以上)が共働きをしています。共働きをすることで、世帯年収を増やしたり、いざというときのリスクヘッジにすることが出来ますが、働きながら子育てをするのは互いの協力がなければ大変です。そこで、共働きしながら子育てをする際にやっておいた方がよいことをご紹介します。
家事と育児の負担割合はこんなに違う
育児をする際に「家事・育児の負担が妻の方が多い」という問題をよく耳にすると思います。2022年の国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、妻の育児時間の平均が平日524分、休日724分に比べて夫は平日117分、休日423分となっており、育児の7割を女性側が負担しています。また、家事に関しては、妻の平均が平日247分、休日276分に比べて夫は平日47分、休日81分となっており、家事の8割を女性側が負担しています。このように、家事・育児は基本的に女性が負担するという家庭が多いため、共働きすると女性に負担がかかりがちになります。
ちなみに、スウェーデンやノルウェーなどの諸外国では夫の家事・育児時間が日本より長く、第2子以降がいる家庭も高い傾向にあります。
女性の負担を減らすためにできること
子育ては「妻を夫が手伝って」行うものではなく「妻と夫が協力して」行うものです。体の機能的にできないことはしょうがないにしても、できることは夫が率先して行い女性の負担を減らす努力をした方がよいでしょう。
家事・育児の役割分担をある程度決めておく
女性の負担を減らすためにまずできることは、家事・育児を率先して夫が行うことです。「仕事が忙しくて家事や育児をやる時間がない」という方もいらっしゃると思いますが、そういう場合は、一日のタイムスケジュールを書き出して無駄にしている時間がないか確認しましょう。書き出してみると家にいる時間が意外に長く、自分のために使っている時間も多く取っているかもしれません。自分の息抜きのためには自分の時間も大切ですが、女性の息抜きの時間を確保するためには家事・育児の時間も同じように大切です。できる範囲内で役割分担を決めておきましょう。
ここで注意したいのが、「ある程度」決めておくことです。「絶対に妻(夫)がやる」と決めてしまうと、急な仕事が入ったり、つい忘れてしまった際に「やるって言ってたのにやってない!」とイライラしてしまう場合もあります。そのため、基本は夫(妻)がやるという風に決めておけば、気持ちの面でも折り合いがつくと思います。
家事時間を短縮ー便利家電を購入する
掃除や洗濯、食事の支度は日々の生活の中でかなりの時間をとっています。家事の負担が大きいという場合には、最新の便利家電を使用するのもお勧めです。食洗器やドラム式洗濯機、ロボット掃除機などを使用すれば、食器洗いや洗濯干し、掃除などといった時間と手間がかかる家事をすべて自動で行えます。特に食洗器とドラム式洗濯機をお勧めします。食洗器は手洗いよりもきれいに洗えますし、水道代の節約にもなります。また、ドラム式洗濯機は乾燥機能も付いているため、雨の日でも乾きにくいタオルや厚手の洋服なども乾かすことが出来ます。
便利な家電は一つ10万~20万円程度かかるため、すべてを一気に購入するのには無理がありま。そのため、日々の生活の中で最もやりたくないものを選んで便利家電に置き換えることをお勧めします。
短時間勤務制度を利用する
日々の仕事が忙しく、最新家電を導入しても育児に時間がかかり時間を捻出できない場合には、「短時間勤務制度」を利用するのも選択肢の一つです。下記の条件に当てはまる人が利用できる制度で、育児・介護休業法で定められている権利です。
- 3歳に満たない子を養育する労働者であること
- 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
- 日々雇用されるものでないこと
- 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
- 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと
こちらの制度は子供が3歳未満の時にしか利用することが出来ませんが、1日の労働時間を原則6時間にすることが出来ます。これを使用する事で残業もなくなりますので、家事・育児の時間を確保できるようになります。労働時間が減りますので、給料は通常に勤務した場合の8割程度になります。残業代もなくなりますので、残業で稼いでいた人はもう少し給料が減りますので、注意しましょう。
制度の利用に関しては、法律で決められた労働者の権利ですので、申請を行えば会社は拒否することが出来ません。しかし、短時間の勤務であることから配置換えが行われたり、職務内容が変わったりする可能性もありますので申請前によく会社の担当者と話し合うことをお勧めします。
所定外労働の免除・制限を利用する
時短勤務制度を利用すると給料が8割程度と大きく目減りしてしまいます。「給料が減ると生活がきつい。。」そんな時には、「所定外労働の免除」と「所定外労働の制限」を使用する事をお勧めします。こちらの制度も、育児介護休業法で定められた権利であり、どちらも残業時間を制限することで家庭での時間を増やすことが出来る制度です。
私も所定外労働の制限を使用しながら勤務しています。
所定外労働の免除
3歳未満の子を養育する従業員が申請した際には、所定外労働(残業)が免除されます。短時間勤務では労働時間が1日6時間に制限されますが、こちらの制度では所定労働時間の勤務は申請前と同様に行います。(1日8時間であれば8時間、7時間30分であれば7時間30分)そのため、基本的な給料は減少することはありませんが、残業はなくなるので、その分の給料は減ります。
所定外労働の制限
小学校就学前の子を養育している従業員から申請があった場合には、原則として、1カ月について24時間、1年間について150時間を超える時間外労働をさせることが出来ません。こちらの制度を使用した場合には、先ほどとは違い残業をすることが可能です。時間としては1日1時間以下となります。仕事内容は変えたくないけど、残業はあまりできない場合にはこちらの制度を使用したほうがよいでしょう。
ただし、「所定外労働の免除」「所定外労働の制限」ともに残業が出来ないまたは制限されることから現在行っている業務から配置替えをされる可能性もあります。インフラのメンテナンス業務で災害が発生した際の対応や顧客からの急な呼び出しがあるなど、業務内容として突発的な残業が発生する場合には難しい場合があります。業務内容を変えずに申請を行うことが出来るかは、会社の担当者とよく相談しておきましょう。
部外のサービスを利用する
こちらの記事でも紹介していますが、家事代行サービスや保育園の一時預かりを利用するなどして息抜きの時間を作るのもよいかと思います。日々の負担を減らすことが出来なくとも、休みの日に女性に息抜きさせてあげるだけでも、だいぶ楽になるかと思います。
まとめ
家事・育児は女性の負担が大きくなりがちです。そのため、男性は女性の負担を減らすための努力が必要です。そのための手段は色々ありますが、短時間勤務・所定外労働の免除、制限など働き方を変えることも選択肢の一つです。ただし、働き方を変えると仕事内容や給料にも影響が出てきますので、パートナーや会社とよく相談してから決めることをお勧めします。
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