一昔前であれば育児休業(以下、育休)を取得するのは女性が主でしたが、昨今では国主導で育休取得が奨励されており、私の会社でも取得する人が増えています。2022年には育児・介護休業法が改正され、より取得しやすい環境が整備されてきています。育休取得は法律で認められた権利ですので、従業員から取得の申し出があった場合には、拒否することはできません。しかし、権利とはいえ仕事を休むことで会社の同僚の負担が増えることがありますので、周囲に気を配らなければ、職場復帰後に思うように仕事ができない可能性があります。
今回は私の実体験をもとに育休取得前に気を付けることをまとめましたので、これから取得を考えている方の参考になれば幸いです。
育休取得は労働者の権利
まず、大前提として育休取得は労働者の権利であり、労働者から取得の申し出があった場合には会社は拒否することはできません。また、労働者本人またはその配偶者の妊娠・出産などの申し出があった場合には、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と取得意向の確認を個別で行う必要があります。
- 育児休業・産後パパ育休に関する制度
- 育児休業・産後パパ育休の申し出先
- 育児休業給付に関すること
- 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い
会社に妊娠の報告をした際に上記の内容の説明を受けていない場合には、説明をしてほしい旨を会社に申し出ましょう。また、子供の出産に伴い、扶養家族が増えますので会社での健康保険加入の手続きや扶養手当が出る場合には手当の手続きなども必要になります。手続きが遅れると遅れた分の手当てがもらえなくなることもあるので、妊娠が分かったらできるだけ早めに会社に報告しましょう。
育休取得時に職場で気を付けること
育休取得は労働者の権利ですが、権利だからといって自分勝手にふるまってよいわけではありません。育休終了後は会社に戻り、また同僚と仕事をするわけですから最低限周囲への配慮は行いましょう。
1.取得するつもりがあるなら早めに会社に報告すること
まず、一番大切なことは早めに会社に報告することです。報告を受けたら会社は育休の取得期間や受け持ちの業務量、復帰後の働き方(時短勤務や残業をしない勤務を希望しているか等)から「追加の人員配置をする必要があるか」「異動をさせる必要があるのか」などを考え、必要であれば実行します。そのため、報告が遅れるほど人事異動を考える時間が無くなり、会社や同僚の負担が大きくなります。そのため、取得期間、復職後の働き方の希望等が決まったら早めに報告しましょう。
育休を取得する場合の会社への報告期限は各会社ごとに就業規則で定められていると思いますので、よく確認し、分からないようであれば担当部署へ確認しましょう。
2.早めに周囲にも連絡しておく
会社への報告が終わったら一緒に働く同僚にもできるだけ早めに報告しておきましょう。育休についてはプライベートな部分も含むため、会社から同僚に情報が伝わるまでには時間がかかる場合もあります。自分が受け持っている仕事で育休開始までに終わらない場合には同僚に引き継ぐ必要がありますので、早めに直接育休取得の意向を伝えることで余裕をもって引き継ぐことが出来ます。
ぎりぎりまで報告せずにその結果引継ぎもギリギリになってしまえば、引き継ぎ内容に漏れが出たり、ほかの業務との兼ね合いで同僚の負担が大きくなりすぎることがあります。その結果、復帰後に肩身の狭い思いをするのは自分です。
育休は権利とはいえ、同僚の負担が大きくなることには変わりないので、誠意を持って対応しましょう。
3.提出書類を確認する
育休取得に伴い、社会保険料の免除や育児休業給付金の申請等さまざまな手続きが必要になります。手続きには出生を証明するための母子健康手帳の写しの提出や子供のマイナンバーの申請等が必要になることがあります。これらには役所での手続きが必要になってきますので、会社にはどのような提出書類が必要で、どのような添付資料が必要かを余裕をもって確認しておきましょう。
とくに、子供の出産とほぼ同じタイミングでの育休取得を考えている場合には、出産から育休までに時間があまりないため、予定通り取得できるようにスケジュールを立てて行動しましょう。
4.復帰後にはお礼をしっかりとする
育休明けに職場に復帰する際には負担をかけてしまった同僚に対して改めてしっかりとお礼をしておきましょう。感謝の言葉をかけるだけでも良いですが、ちょっとしたお菓子を一緒に渡すとより気持ちが伝わると思います。
まとめ
育休は労働者の権利ですが、復帰後のことも考えてなるべく会社や同僚の負担を減らすように配慮しましょう。そのためには、早めの報告・確認が必要になりますので、取得したい気持ちがあるのならば早めに行動しましょう。
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